2012-09-01から1ヶ月間の記事一覧
知らなかったのだ、私は何も 知れなかったのだ、私は何も 知ったかぶる素振りを出来ることなど少しもないほど 答えのないものをいつまでも愛せる馬鹿のままでいるなら幸せだったろう ところが人は優しく、 あなたの幸せを、と言った 確かに私の幸せはそこに…
人生で、一度も訪れることがないであろう場所に思いを馳せながら、久しぶりの煙草に火をつける。 そこは、人工的な青と、自然が調和した世界。 悲しみも、後悔も、死でさえも踏み入ることができない空間。 その光景は、あなたが眼を瞬かせると同時に現われ、…
秋雨に合わせてさめざめとしてみたが飽いた。 秋色に合わせたスカートを大事に仕舞ううちに紅葉も落ちた。 得る以上に失うことの早さを辟易もせず、穏やかな目で見えているものはそう多くはない。 頭に響くのは、夏の去る音でもなく、冬ざれの乾いた風でもな…
おかしなことを言う。 本来直視できなかったものが実に軽率になっていく。 肌に吸収される潤いの瑞々しさとは程遠い浸透を見せる。 履き違えるし、為違える。 過ぎ去るものだろうと考えることさえなく私が眠る夜に、清々しい決意がなされていたのかもしれな…
この9月には、小さな二つの別れと、ひとつの大きな別れがありました。 しかし、私はそれを何かに記すことが出来ませんでした。 それほどまでに、私の筆は錆びついていたのです。 だから今日、新しいペンを買いました。 ペンだけではありません。ノートと、地…
──秋口。夜の森を走っている。その闇の深さたるや、想像していたよりも遥かに深い。息を切らしている。勝手知ったる庭のように駆けることが出来るのは、そこが一本道だからである。涙を浮かべている。ここを抜けた先については何も知らされていないし、あと…
畏れ多くも自ら求めたものが例えば甲斐甲斐しさだとしたら 恐らく君が知らずに望んだものは雄々しさだろう しかしそうなればなるほどに 見えざる君の更に望ましくないさまは 私をまたひとつ嫌な大人へと段階させるので 求めるものはなきしにもあらず ただた…