「あなたはいい人だから、きっと幸せになれるよ」 耳慣れない二人称のせいか、その意味を理解するのに時間がかかってしまった。手を止めて、彼女に向かって言葉を返す。 「何、忘れさせたいの?今日のこと」 「ううん。それから先のことは興味ない。あなたの…
ひどい雨が止んだのは、あれから数時間後のことだった。この国で嘘みたいなニュースを信じきっていたのは、分別のつかない子どもと、何でも知っている狡い大人、そしてそれを待ち望んでいた彼女だけだった。彼女は終末論者でもなければ、心をバランスを崩し…
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