かりわたし

秋雨に合わせてさめざめとしてみたが飽いた。
秋色に合わせたスカートを大事に仕舞ううちに紅葉も落ちた。
得る以上に失うことの早さを辟易もせず、穏やかな目で見えているものはそう多くはない。
頭に響くのは、夏の去る音でもなく、冬ざれの乾いた風でもなく、
何かを隠すのにちょうど良い落ち葉が集まっていく音。
見つかる前に焚き火にしてしまおうとマッチを擦る手さえままならぬ。