マッチは早く燃える

──秋口。

夜の森を走っている。

その闇の深さたるや、想像していたよりも遥かに深い。

息を切らしている。

勝手知ったる庭のように駆けることが出来るのは、そこが一本道だからである。

涙を浮かべている。

ここを抜けた先については何も知らされていないし、あとどれくらいで抜けるのか、皆目検討がつかない。

恐怖に覆われている。

確かな一瞬を見逃した後、四方を業火が襲った。

救いを求めている。

煙らない炎は、私を焼き尽くすこともなかった。

手放している。