頬甚三紅

染め上げた唇から突いて出るのは
慣れたのか慣れぬのか詰まらないことばかり
でもその貪婪な様は、私が霧がけた心を闡明する
ああいやだ、よしてください
恬淡な光を放たせた目も、
それを保てなくなるでしょうに
やめてください
これではまるで、僭する惨めな売女のようだわ
ああ、桟敷に座っても届きやしないこの照りつけの中
徒跣で進もうが扇情的な千三つ屋なんて居やしない
こうと分かっていたら、筌に掛かって泣いていたのに