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新しい靴、親しい声。
雑踏はいつもと同じように僕を受け入れてしまう。
足もとを見ないように気をつけた。
誰も僕を見ないというのなら、僕も僕を見ない。
それでも、足跡だけはこの背中を見つめている。
僕を離れた、遠い遠い目線。
それが何を期待していたのか、一秒後の僕はもう分からなくなっていた。